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日本最北端の蒸留所での、多国籍チームのマネジメント

北海道・利尻島の海岸線に建つKamui Whiskyの蒸留所

日本最北端の蒸留所での、多国籍チームのマネジメント

北海道・利尻島の海岸線に建つKamui Whiskyの蒸留所

北海道最北端の孤島・利尻島で、アンエイジドウイスキー「神居原酒」を造るKamui Whisky株式会社。20代から60代まで、世界各地から集まった約10名の多国籍チームを率いるのが、チリ出身のヘッドディスティラー ハビエル・ネグレテ氏です。日本語もフランス語も話せない中で、どのようにチームの本音を引き出し、一つにまとめてきたのか。Attunedの具体的な活用方法とその手応えについてお話を伺いました。

会社名:Kamui Whisky株式会社/業種:ウイスキー蒸留所/チーム規模:約10名/所在地:北海道・利尻島/インタビュー:ハビエル・ネグレテ氏(ヘッドディスティラー)

北海道最北端の蒸留所

利尻島。ロシアとの国境を望む、北海道最北端の孤島です。何世紀にもわたり漁業の伝統が息づくこの地は、ウイスキー造りとは無縁に思える場所でした。しかし、風雪に耐えるこの小さな島から、Kamui Whiskyは2022年の創業以来、アンエイジドウイスキー「神居原酒」で数々の金賞を手にしています。

ヘッドディスティラー(蒸留責任者)として4年間、ゼロから蒸留所を築き上げてきたハビエル・ネグレテ氏。London Spirits Competition 2026をはじめ、International Spirits Challenge 2026やInternational Wine & Spirit Competition 2026など、国際的な舞台で金賞を受賞し、その品質は高く評価されています。そのウイスキーを支えるのは、約10名の多国籍チームです。20代から60代まで、日本のみならず世界各地から集まったメンバーたち。しかし、チリ出身のハビエル氏にとって、日本語も、チームの第二言語であるフランス語も話せない中で、異なる背景を持つメンバーたちを一つにまとめるのは、決して平坦な道のりではありませんでした。

ハビエル氏は、従来の枠組みを超えた、新しいアプローチを模索する必要に迫られていました。

利尻蒸留所のハビエル氏(左端)とチームメンバー

利尻蒸留所のハビエル氏(左端)とチームメンバー

「言葉にしない」チームという難題

Attunedを導入する前、ハビエル氏にとってチームのコンディションを把握することは困難を極めていました。誰かの不満が限界を超え、決定的な亀裂が入るまで気づくことができなかったのです。経験と勘を頼りにしても、文化や言語の壁を越えてチームの本音を読み取ることは容易ではありませんでした。「利尻という地を自ら選んでやってきた探求者たち」という、独自の気質を持つメンバーたち。その内側で何が起きているのかを察知するのは、至難の業でした。

あるとき、メンバーの一人からこう言われたといいます。「私たちは『ノー』や本音を言葉にはしない。でも、目を見ればわかるはずだ」。それはつまり、ハビエル氏はいつも、問題が表面化してしまった後にしか実態を知ることができない、ということを意味していました。メンバー間の緊張は何週間もかけて静かに積み重なり、気づく頃には不満が溢れ出していたのです。

利尻という小さな島社会において、噂の広まる速さは尋常ではありません。マーク・トウェインの言葉を借りれば、「噂は、真実が靴を履く間に山の半分を回ってしまう」。そうした外からのプレッシャーも重なり、チームは常に緊張をはらんでいました。表には出しにくいものの、ふとした瞬間に浮かぶメンバーの表情が、その張り詰めた空気を物語っていました。

ハビエル氏には、日常会話の延長にはない、本音を引き出す新たなアプローチが必要でした。世界最高のウイスキーを目指すには研ぎ澄まされた感覚が不可欠であり、だからこそ、毎晩の飲み会で親睦を深めるという日本的な慣習も、彼のアプローチには馴染まなかったのです。Attunedは、チームを深く理解し、より近い距離感で対話するための新たな道しるべとなりました。ただ、この新しいアプローチがチームの文化として根付き、メンバーが前向きに活用し始めるまでには、時間を要することになったのです。

サーフボードから始めたこと

Attunedを導入した当初、「内発的動機」という言葉はチームにほとんど伝わりませんでした。島での生活を選んだこと自体が内発的動機の表れでも、それを言葉にしたことのある人はほとんどいなかったからです。ハビエル氏は、概念的な説明を捨てました。

代わりに、もっとパーソナルな会話から始めることにしました。オフィスではなく、コーヒーを片手にくつろげる場所で、仕事以外の話を聞くのです。サーフィン好きのメンバーには、「サーフィンの何が好きなの?」と尋ねました。「海の上でボードに座って、自然を感じる瞬間が好きだ。気持ちが落ち着くから」。その言葉から、ハビエル氏は「仕事の中で、同じ感覚を得られるのはどんなときか」へと、自然に対話を繋げていったのです。

また、ハビエル氏は必ず自分のモチベーターレポートを先に見せるところから会話を始めます。自身を先に開示することで、相手が話しやすくなるためです。自身の「自律性」スコアが100%だと伝えると、メンバーは笑い出すか、黙り込むかのどちらかでした。「だからか、ようやくわかりました」と言ってくれたこともあります。最初は評価されているのではという警戒感がありましたが、一人ひとりを理解しようとする誠実な姿勢が伝わると、信頼は深まり、自分のモチベーターについて話すことへの抵抗もなくなっていきました。

「メンバーそれぞれの個性に寄り添って対話することで、なぜAttunedを使うのかを理解してもらえるようになりました」(ハビエル氏)

変化はゆっくりでした。今も完全には腑に落ちていないメンバーが一人二人います。ただ、隔週のモチベーション充足度サーベイの回答率は劇的に上がりました。ハビエル氏はその結果をAI TalkCoachで整理し、対策を練ってから対話に臨みます。経験だけを頼りに反射的に動くのではなく、客観的な視点を持って判断を下せるようになってきたのです。

Attunedのモチベーション充足度の推移グラフ

Attunedの「モチベーション充足度」の推移グラフ。点線で示された回答率は、当初は3割台にとどまっていましたが、2025年後半以降はほぼすべてのサイクルで100%を維持しています。隔週のサーベイに対して、チーム全員から本音の回答を継続的に引き出すこと。それこそが、最も困難で、かつ重要なステップでした。

モチベーターのギャップが、会話の出発点になる

Attunedの中でも、ハビエル氏が特に重視するのが「対人モチベーターギャップ」です。二人の間に距離を感じるとき、感情に流されず、客観的な事実に基づいた「会話の入り口」を与えてくれるからです。

あるとき、意欲が高く仕事の速い若手ディスティラーが、習得に時間がかかる別のメンバーとうまく連携できずに悩んでいました。二人のモチベーターギャップを確認すると、若手の「利他性」スコアはわずか3%でした。

「彼はショックを受けていました。『でも家族のことも、仕事のことも大切にしているのに』と」とハビエル氏は話します。そこで二人でAttunedの説明文を読みました。「職場の雰囲気や周囲へのサポートより、効率的な仕事の遂行を優先する傾向がある」。それを読んだ瞬間、彼は黙り込みました。自分のことだと、直感したのです。ハビエル氏はその若手の働き方について、自分が観察してきたことを穏やかに伝えました。動きが速いがゆえに、ついてこられない同僚を置き去りにしてしまいがちだ、と。

そこから、前向きな対話が生まれました。若手にはチーム内で多くの強みがある。だからこそ、将来リーダーを目指すなら、周りを一緒に引き上げることが求められるのだと伝えたといいます。「チームから人を切り捨てるのではなく、引き上げるんだ」。この言葉はAI TalkCoachで事前に練ったものでした。ハビエル氏は、二人の関係性を踏まえ、どう話を進めるかという選択肢をいくつか準備して、その場に臨んだのです。

ハビエル氏率いる蒸留所チームのカルチャーマップ

ハビエル氏率いる蒸留所チームのカルチャーマップ。紫色の点はハビエル氏のモチベーターを示しています。彼は多くの項目で必須傾向にありますが、チームの大多数は対極に位置していました。言語や文化の壁以上に、こうした「モチベーションの違い」こそが、互いの理解や心の繋がりを難しくしていた真の要因だったのです。

マネージャーの進化が、チームを変えた

利尻島でのマネジメントを、誰もハビエル氏に教えてはくれませんでした。チームが大きくなるにつれ、一歩一歩、自分で学んできたのです。とりわけ苦労したのは、状況を悪化させずに、誠実なフィードバックを届けることでした。

「AttunedとAI TalkCoachのおかげで、言葉選びに迷う時間が短縮されました。ネガティブなフィードバックを伝える際も、準備に時間をかけすぎず、自信を持って対話に臨めるようになったのは助かっています」(ハビエル氏)

この遠隔地の蒸留所で、社員の定着率は向上しています。オープンなコミュニケーションの文化に馴染んだメンバーたちは、以前より前向きに働いています。経験のあるメンバーが、経験の浅い同僚を育てるという好循環も生まれました。ハビエル氏は、Attunedとともに作り上げてきたこの職場文化を、日本の一般的な職場とは対極にあると言います。トップダウンの管理ではなく、言いたいことを言える心理的安全性の高い環境。それはウイスキーの原料や製法には関係ないかもしれません。しかし、それこそが、この小さな蒸留所が成果を出し続けている理由のひとつです。

「私が単に業務の進捗を見守るだけでなく、会社の価値観を共有しながら、彼らの成長を支えるメンターでもあるということを、多くのメンバーが理解してくれるようになりました」とハビエル氏は話します。チームは今、方向性を信頼し、互いにサポートし合えています。Attunedはその変化を支えた一つの柱です。

「Attunedを使っていなければ、何が起きているかわからないまま何週間も過ごしていたでしょう。特にメンバー同士の対立があるときは」とハビエル氏は話します。多国籍チームではメンバーが増えるほど関係性も複雑になり、摩擦が生まれる可能性も増えていきます。その「わからない何週間」は、気づかないうちに積み重なっていきます。

「Attunedには、プレッシャーなく正直に向き合える場があります。自分のペースで、マネージャーとして成長していける。それがとても貴重です」

ハビエル・ネグレテ氏|Kamui Whisky株式会社 ヘッドディスティラー

利尻島から、世界へ

Kamui Whiskyは2026年11月、初の熟成ウイスキーを発売予定です。発売後すぐに完売することが予想されます。もし手に入らなければ、銀座の専用バー(42階、眺めも抜群です)でその味をお楽しみください。そして、さらに遠くまで足を運んでみたいという方は、ぜひ利尻蒸留所まで。ウイスキーの美しい色だけでなく、そこに根付いたチームの文化にも、目を向けてみてください。

日本の最北、火山がそびえる孤島でゼロから挑むKamui Whisky。その歩みや創業ストーリーを詳しく知りたい方は、ぜひSubstack(ブログ)を購読してみてください。

多国籍・多言語チームのマネジメントにAttunedがどう役立つか、ぜひデモでご確認ください。

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お役立ち資料

  • ワーク・エンゲージメントの向上に向けた1on1研修の効果検証

  • The State of Motivation Report 2025

    2025年のモチベーションランキングレポートが完成しました。このレポートは、世界中のAttunedユーザーの皆様のモチベーションの変化を、学術界や産業界のエキスパートの視点を取り入れ、詳細に分析した非常に貴重なデータに基づいています。

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