東日本旅客鉄道株式会社 様
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「この仕事、なんか時間を忘れて取り組んでしまう」
「締め切りがなくても、気づいたら自分から調べていた」
こんな経験、ありませんか? それが内発的動機づけが働いている状態です。
近年、給与・ボーナス・昇進といった外部報酬だけでは社員が動かなくなっている、という声が人事やマネジャーから増えています。Z世代の価値観変化、人材不足の深刻化、AIの台頭——こうした変化が重なる2020年代において、「内発的動機づけ」の理解はHRの必須知識になりつつあります。
この記事では、内発的動機づけの定義・意味から、具体例、外発的動機づけとの違い、職場での高め方まで、40年以上の研究エビデンスとAttuned独自の日本の職場データをもとにわかりやすく解説します。
内発的動機づけとは、「外部からの報酬や罰を目的とするのではなく、活動や課題そのものへの興味・楽しさ・好奇心・達成感によって生まれる行動意欲」のことです。シンプルに言えば、「やれと言われたからではなく、自分がやりたいから動く」状態です。
心理学では1970年代から活発に研究されてきたテーマで、特にエドワード・デシとリチャード・ライアンが提唱する自己決定理論が、現代における内発的動機づけ研究の基盤となっています。
自己決定理論では、人が内発的に動機づけられるためには、以下の3つの基本的な心理的欲求が満たされる必要があるとされています。
「内発的動機づけ」と聞くと学術的に聞こえますが、職場でも日常的に起きています。内発的動機が高い状態と低い状態では、同じ仕事への向き合い方がまったく異なります。
内発的動機づけは、外から観察するだけでは判断できません。
同じ行動をしている社員でも、「評価されたいから残業している」のか、「仕事が面白くて時間を忘れて取り組んでいる」のかは、表面を見るだけでは見えません。だからこそ、一人ひとりの内発的動機を意識的に把握する仕組みが、現代のマネジメントには必要です。
外発的動機づけとは、給与・ボーナス・昇進・表彰・罰則など、行動の外側にある報酬や制裁によって起こる行動意欲のことです。内発的動機づけとの違いを整理します。
外発的動機づけが悪いわけではありません。給与・評価制度・表彰は組織に不可欠です。重要なのは、2つを対立させず、うまく組み合わせること。外発的動機づけのみに頼り続けると、社員は「最低限こなせばいい」というスタンスになりやすく、創造性やエンゲージメントが長期的に低下するリスクがあります。
内発的動機づけと外発的動機づけの使い分けや「アンダーマイニング効果(報酬が内発的動機を壊すメカニズム)」については、**内発的動機 vs 外発的動機づけ〜二項対立ではない最適解**で詳しく解説しています。
内発的動機づけが重要とされる最大の理由は、組織の成果に直結するからです。40年以上にわたる研究が、一貫したエビデンスを示しています。
① パフォーマンスの向上
Kuvaasらが実施した40年間の研究メタ分析では、次の結果が示されています。
「内発的動機づけは、インセンティブが与えられるかどうかに関わらず、パフォーマンスに対する中〜強の予測因子である」
金銭的報酬の有無にかかわらず、内発的動機が高い人は成果を出す傾向があるということです。同研究では、内発的に動機づけられた人が高いエネルギーレベル・粘り強さ・ポジティブなエンゲージメント・幸福感とも関連していることも示されています。
② 創造性の向上
ハーバード・ビジネス・スクールのアマビール教授は、40年間の創造性研究を通じてこう述べています。
「外発的な動機ではなく、内発的動機こそが創造性を力強く生み出している。人々は、仕事自体への関心・楽しさ・満足感・個人的な挑戦によって動機づけられているとき、最も創造的になれる」
③ 役割を「超えた」パフォーマンスの向上
ヴァン・ディック教授は、内発的動機づけが役割外パフォーマンスにも強く影響すると指摘します。役割外パフォーマンスとは、契約や職務記述書には含まれていないが、組織に価値をもたらす自発的な行動のことです。
「役割外パフォーマンスとモチベーションの相関は、役割内パフォーマンスとの相関の2倍に達する」(ヴァン・ディック教授)。また同教授は、内発的動機づけが困難な状況でこそ差を生むとも述べています。
「動機づけとは、費やす努力のレベルだけでなく、障害や問題に直面したときの解決への方向性と粘り強さでもある」
Attunedが日本の職場データを継続的に分析すると、内発的動機づけの重要性は日本でも明確に高く、今がまさに大きなターニングポイントであることが見えてきます。
① 給与だけでは動かない社員が増えている
Attunedが毎年発行する「State of Motivation Report(モチベーション動向レポート)」のデータでは、給与・福利厚生といった外発的施策を強化しても、エンゲージメントスコアが上がらないという現実に直面する企業が増えており、報酬設計の見直しだけでは限界があることが示されています。
② Z世代・若手社員の価値観が変化している
「管理職になりたくない」「昇進より自分らしい働き方」という声が増えています。これは怠惰ではなく、外部的な地位よりも自分の内発的な動機に合った仕事をしたいという価値観のシフトです。上の世代が当然と思っていた「昇進がモチベーションになる」という前提が、通用しない職場が急速に増えています。
③ 人材不足の中で、優秀な人ほど早く辞める
少子高齢化による人材不足が深刻化する中、内発的動機を満たせない職場からは、行動力のある優秀な人材ほど早期離職する傾向があります。
④ AIが進化するほど、内発的動機の価値が高まる
定型業務がAIに代替されていく中で残るのは、創造的思考・複雑な判断・人間同士の関係構築です。これらはまさに内発的動機が高い状態でこそ発揮される能力です。
マネジャーの関わり方や職場環境によって、部下の内発的動機づけを高めることは十分可能です。自己決定理論が示す3要素(自律性・有能感・関係性)を満たす環境をつくることが、基本的なアプローチになります。
① 自律性を与える(マイクロマネジメントをやめる)
「何を達成するか(目標)」を明確にしつつ、「どうやるか(方法)」は本人に委ねるスタイルへ。細かい指示・監視・報告を求めるマイクロマネジメントは、自律性を奪い、内発的動機を直接損なわせます。
② 仕事の「意味・意義」を伝える
「この仕事がどのように誰かの役に立っているか」「あなたの貢献がチームや顧客にどんな影響を与えているか」を定期的・具体的に伝える。仕事と社会への貢献のつながりが見えると、動機づけが高まります。
③ 成長できる難易度の仕事を与える
「少し背伸びすれば達成できる」難易度が有能感を育てます。定期的に成長の実感が持てるフィードバックも欠かせません。
④ 心理的安全性を確保する
「失敗しても批判されない」「意見を言っても大丈夫」という安心感がある環境では、好奇心・挑戦心・創造性が発揮されやすくなります。 → 詳しくは 心理的安全性の作り方 をご覧ください。
⑤ 一人ひとりの動機を把握する(最重要)
内発的動機は人によってまったく異なります。 ある人は「自律性」で動き、別の人は「チームへの貢献」、また別の人は「知的好奇心」が原動力です。「全員に同じ研修」「全員にボーナス」といった一律施策では対応できません。**個人の動機を理解してから、働きかけを設計する、**この順番が重要です。
「部下の動機を把握したい、でも難しい」——この悩みの根本は、内発的動機が数字として見えないからです。本人も言語化しにくく、マネジャーが自分の価値観で相手の動機を決めつけてしまうことも少なくありません。
AttunedはAI×心理学を活用したモチベーション可視化プラットフォームです。アセスメントを通じて個人の内発的動機を11のモチベーターとして数値化・可視化します。
Attunedの11のモチベーター
この11のモチベーターデータをもとに、マネジャーはAI TalkCoachのサポートを受けながら、部下一人ひとりの内発的動機に合った1on1・育成方針を実践できます。
▶︎ 詳しくは 11のモチベーターとは? をご覧ください。
この記事のポイントを3点で整理します。
ポイント①:内発的動機づけとは何か
内発的動機づけとは、報酬や罰ではなく、活動そのものへの興味・楽しさ・達成感から生まれる行動意欲。自己決定理論によれば、自律性・有能感・関係性の3つの心理的欲求が満たされる環境でこそ育まれる。
ポイント②:なぜ重要なのか(研究エビデンス)
パフォーマンス・創造性・役割外の行動のすべてにおいて、内発的動機づけは強力な予測因子。特に役割外パフォーマンスとの相関は役割内の2倍に達することが、40年以上の研究メタ分析で示されている。
ポイント③:マネジャーにできること
「一律施策」から「個別理解」へ。自律性を与え、意義を伝え、成長機会をつくり、心理的安全性を確保する。そして何より、一人ひとりの内発的動機が何かを把握する仕組みを持つことが、現代のマネジメントには不可欠。
もっと深く学びたい方へ
内発的動機づけについてさらに知りたい方は、Attunedのホワイトペーパーをぜひご覧ください。
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