内発的動機づけ vs 外部動機はどちらがより重要か?

〜研究論文を読み解いてみた〜

私たちのチームは、モチベーション=内発的動機づけに関する研究論文を日頃から読みあさっています。私たちのチームで最も高いモチベーションの動機づけ要因(モチベーターといいます)は、成長合理性であるため、それは当然のことかもしれません。

しかし、学術研究を読むことがすべての人にとって喜びにつながるわけではないことを私たちは知っています。COVID-19の混乱、そして自宅勤務の普及で通勤時間の削減ができ、私たちは少し自由な時間ができましたが、だからといって、密度の高い学術論文を手に取ることは大変ハードルの高いことでした。

ここでは、内発的動機と外部動機づけについての重要な研究論文を読み解いて、より私たちの身近なものにしてみようと思います。

なぜ私たちはこのようなことをしているのでしょうか?多くのマネージャーが内発的動機づけと外部動機づけの違いを知り、それぞれが最も有用であることを理解すれば、私たちは仕事を人生の中でより有意義[meaningful]なものにすることができるでしょう。それを実現することが、私たちAttunedが情熱を注いでいることです。

今日ご紹介するのは、ノルウェー大学のクバースらによる『内発的動機づけや外部からの動機づけは従業員の業績の差異に関連しているのか?*』という論文です。

* “Do intrinsic and extrinsic motivation relate differently to employee outcomes?” from Journal of Economic Psychology 61 (2017) 244-258Authors: Bard Kuvaas, Robert Buch, Antoinette Weibel, Anders Dysvik, Christina G.L. Nerstad

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要点:内発的動機にフォーカスすべき

この論文の基本的な考え方は、内発的動機と外的動機は異なるものであるということです。これらは「別個の動機」であり、異なる方法で対処する必要があります。

重要な結論は、組織は従業員の内発的動機=モチベーションを高めることに注力すべきであるということです。「外部性の動機を高めること」は、「個人にとっても組織にとっても有用ではない」という研究結果が出ています。

なぜ、このような結論に至ったのかを探ってみましょう。

仕事における内発的動機づけと外部動機づけ

外部動機づけは、報酬やボーナスといったインセンティブと結びついています。著者らは、「インセンティブは、手元のタスクを完了させるために、追加で支払いをしてでもやり遂げようとさせるものです。それは楽しい仕事ではないということを自ら示しているようなものです。」と、インセンティブの必要を打ち消します。

多くのマネージャーは、チームを鼓舞し刺激を与えるため、インセンティブのパッケージに手を伸ばすことでしょうが、知らず知らずのうちに、求められているタスクが本来楽しいものではないということをチームに知らせていることになります。 

マネジャーは外部報酬という手段の前に、考え直すべきことがあります。

内発的動機は、一方で、「高いエネルギーレベルと持続性にリンクされています。内発的動機、つまりモチベーションは、熱意とエンゲージメント、繁栄と幸福に積極的に関連しています。」

その上に、創造的な仕事を加えることができます。「内発的動機づけは、自らのそれと同じ方向性を持った仕事のパフォーマンスや創造性と正の関連性を持つことが示されています。

この研究では、仕事における内発的なモチベーションづけは肯定的な関連を示しており、逆に外的動機づけに関しては否定的ですらあります。

しかし、パフォーマンスを向上させるために、報酬などの外的動機づけを使用することに肯定的な側面がなければ、議論にはなり得ません。

「単純で標準化された」タスクでの実験では、外的動機づけが使用された場合、より高いレベルのパフォーマンスを示しています。しかし、そして特にホワイトワーカー、つまりクリエイティブ・クラスにとっては、外的動機づけのインセンティブは、「面白い仕事を妨げる、小さいが有意な負の効果」を持っています。

内発的動機づけのメリットは多岐にわたります。内発的動機づけによるモチベーションの高まりは、肯定的な感情や態度にリンクされています。それは燃え尽き症候群、仕事と家庭の対立、継続のコミットメント、および離職の意図のような職場にとって悪影響となるものと、反比例の関係にあります。内発的動機は、内発的動機づけで定義される「自身の喜びのために仕事を楽しむ」ことを実現するだけでなく、例え良い結果を得られなくても多くのストレスを避けることができます。

それは運動のようなものです。運動をしている間は、エンドルフィンのレベルが高くなるのでポジティブな精神を保つことができ、病気にならないようにするための体の能力を高められるます。内発的動機づけは、私たちの心の幸福を保つために役立つのです。

仕事以外の内発的動機・外的動機づけ

あなた自身とあなたのチームに内発的動機を育てることの利点は、職場の外にも広がっています。「本質的にやる気を持っている従業員は、自分の行動をコントロールすることができるので、仕事と家庭生活を両立させることができる可能性が高くなります。

逆に、外的な動機づけは私たちの創造的な仕事のクオリティを下げ、家庭生活の結果を悪化させることも研究で明らかになっています。「外因的な仕事の価値志向は、人生の満足度や人生の幸福度と否定的な関連性を持っています。この見通しはまた、仕事と家庭生活の間でより多くの衝突をもたらし、人々は仕事を辞める可能性が高くなります。内発的動機づけは、「悪い結果」の後に、より多くの悪影響をもたらすようです。 

このチームが行った研究では、外的動機づけは幸福度の低い状態につながるという決定的な結果が出ています。これとは対照的に、内発的動機づけは、持続的で強固な、そしてより幸せな結果をもたらします。それは個人を超えて、チームを超えて、家族にまで及ぶのです。

メンバーの内発的動機、つまりモチベーションを高めることができるマネージャーであれば、より幸せな家庭を築くことができるでしょう。それは素晴らしいことです。それが意味のある[meaningful]仕事です。

パフォーマンスを向上させるのは、内発的動機か外部動機か

テイラー主義の経営理論からの惰性、不適切な教育の強調、またはあからさまなしばしば利用される外因的な動機づけのインセンティブの活用については、考え直すタイミングに来ているのは間違いありません。

しかしそれほど議論は簡単ではありません。このような外的インセンティブの使用は、与えるタスクが反復可能で単純な場合にのみ行うべきです。創造的な仕事では、外発的な動機づけのインセンティブは遠ざけるようにしましょう。 

私たちは、パフォーマンスを向上させるために外部動機と内発的動機づけツールをいつ使うべきかというメンタルモデルを与えるために、シンプルなフローチャートを作成しました。

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内発的動機の活用はポジティブな影響をもたらす

外部動機(ほとんどない!)対、内発的動機(できる限りのことをしよう!)を強調するタイミングをすべて内在化できれば、仕事の世界はもっと楽しく、創造的な場所になるでしょう。

私たちは内発的動機づけによってエネルギーを供給されたソリューションを作成しました。これは、内発的動機の重要性を心理学に当てはめたところ、Attunedで蓄積したデータ分析の作業で確認されたことと合致しています。

内発的動機づけvs外的動機づけがどちらが人にポジティブな影響を与えるのか、という議論では、内発的動機に軍配が上がるでしょう。

ここで紹介したハイライトよりも詳しい、内在的動機づけ理論についてもっと理解したい方は、ぜひより詳しいレポートを読んでください(英語)。また、論文の全文を購入して詳細を読んでも良いかもしれません。

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