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マズローの欲求5段階説を3分で解説

マズローの欲求5段階説を3分で解説

経験のある部下に、少し難しい仕事を任せようとしたら断られた。成長できる機会だと思っていたのに、なぜだろう。そんなときは、引き受けることで今の仕事がどう変わるのか、まだ聞けていないのかもしれません。

マズローの欲求5段階説は、本人の状況をいくつかの角度から考える手がかりになります。まず要点を短く整理し、そのあとに職場での例と、1on1で使える質問を紹介します。

要点は3分の解説へ。順番を固定して考えない理由や、仕事を断られた場面の例から読むこともできます。

3分でつかむ欲求5段階説の要点

アブラハム・マズローが1943年に示した理論では、人間の欲求を5つに整理します。満たされていない切実な欲求が優先され、その負担が和らぐにつれて、ほかの欲求が目立つようになるという考え方です。原論文を読む(英語)

欲求 意味
生理的欲求 食事や睡眠など、身体に必要なものを求める
安全の欲求 安定や安心できる状態を求める
所属と愛の欲求 つながりや受け入れられることを求める
承認・尊重の欲求 自尊心や他者からの尊重を求める
自己実現の欲求 自分の可能性を発揮しようとする

この5つは、仕事について質問する際の視野を広げてくれます。ただし、それだけで、部下が昇進を望む理由や、新しい仕事を断る理由がわかるわけではありません。本人に聞くことが必要です。

下の図は、各欲求を職場での質問に置き換えた例です。1人の状況を知るために、いくつか聞いてみるとよいでしょう。

マズローの5つの欲求を、休める働き方、先の見通し、相談相手、仕事への評価、力を発揮する機会についての質問に置き換えたオリジナル図。

順番を固定して考えない

マズロー自身も、欲求の順番には例外があり、1つが完全に満たされないと次が現れないわけではないと説明しています。順番と充足の程度についての記述(英語)

後の研究からも、欲求を満たす順番が決まっているとは言い切れません。テイとディーナーの国際比較研究では、個々の欲求の充足と幸福感の関連は、ほかの欲求が満たされているかどうかに大きく左右されませんでした。これは幸福感についての観察研究であり、特定のマネジメント施策が業績を高めると実証した実験ではありません。研究論文を読む(英語)

職場でも、仕事量を調整しながら、学びたいことを話し合えます。1つの欲求を「卒業」するまで、ほかの話題を扱ってはいけないと考える必要はありません。

任せる仕事によって何が変わるかを聞く

冒頭の場面に戻りましょう。新しい仕事を断った部下に、意欲がないと決めつける前に、「これを引き受けると、今の仕事はどうなりそうですか?気になることはありますか?」と聞いてみます。

「やってみたいのですが、今の仕事のどの締切を動かせるのかわかりません」と答えたとします。それなら、具体的に話し合うべきことが見えてきます。何をやめるか、何を後ろにずらすか、誰が決めるかを確認し、調整した内容をいつ振り返るかまで決めましょう。

別の人は、仕事量には問題がなくても、詳しい人が周囲にいないことを気にしているかもしれません。その場合は、難しい判断を相談できる相手と、そのための時間を用意できるかを考えます。また、自分で判断できる仕事なのか、ほかの人の調整だけを担うのかを知りたい人もいるでしょう。

それぞれ、話し合う内容は違います。モデルは、聞き漏らしていたことに気づくために使えます。答えを無理に分類する必要はありません。

5つの欲求を1on1の質問に置き換える

以下は、話し合いに使うための応用例です。検証済みの従業員診断の設問ではありません。

確かめたいこと 1on1での質問例 話し合えること
休息や基本的な労働環境 「今の予定で、休憩や休む時間は取れていますか?」 会議の量や交代要員を一緒に確認する。
安定や先の見通し 「今後数週間のことで、まだわからずに困っていることはありますか?」 決まっていること、未定のこと、次に共有する日を伝える。
つながりや支え 「行き詰まったとき、誰に相談できますか?」 相談できる相手と時間を決める。
評価や尊重 「どの仕事について、もう少し具体的なフィードバックがほしいですか?」 実際の成果物と、その貢献がどう評価されているかを話す。
力を発揮し伸ばす機会 「今の役割ではできていないけれど、もっと取り組みたいことはありますか?」 範囲を決めて試し、代わりにどの仕事を減らすかも決める。

どの質問が今の状況に合うかは、本人に確かめましょう。休めていないこと、期待されている仕事が曖昧なこと、挑戦したいことが、同じ会話に出てきても不思議ではありません。

欲求の名前で人を決めつけない

部下の名前の横に「安全の段階」「承認の段階」と書くより、「新しい仕事を引き受ける前に、今の締切をどう調整するか知りたい」と本人の言葉を記録します。そのほうが、次に何を確かめるかも明確になります。

また、マズローの「安全の欲求」は、職場の「心理的安全性」より広い概念です。心理的安全性は、質問や懸念の表明など、対人関係のリスクを取れると感じることに関わります。2つを同じ意味で使わないようにしましょう。エドモンドソンの説明を読む

1つ合意して次に確かめる

次の1on1の最後に、本人が変えたいことを1つ選びます。何を変えるか、誰が対応するか、いつ確かめるかを書き留めましょう。変えられないことがあれば、その理由を伝え、次にできることを一緒に考えます。

理解をさらに深めたい方は、内発的動機づけの意味と職場での具体例もご覧ください。

一人ひとりが仕事で大切にすることを知る方法として、Attunedのモチベーションアセスメントがあります。独自の11のモチベーターを用いる枠組みで、マズローの5つの欲求とは別のものです。本人が欲求のどの段階にいるかを判定するものではありません。

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