社員の「動機づけ」を理解して、 組織と個人の最速成長を引き出す


Telexistence株式会社

Chief People Officer
石川 史 氏


Telexistence株式会社様(以下、TX)は、人々の生活の場で活躍するロボットの開発と社会実装に取り組んでいます。例えば、世界のどこかにいるオペレーターが操作するロボットがコンビニの商品陳列のような作業を行います。近い将来には物流や倉庫でのロボット事業を計画中です。

同社では、難易度の高い課題解決に挑戦し世界を変えてゆくプロセスを担う、世界で最も優秀な人材を採用し、組織体制の充実に力をいれていらっしゃいます。

10カ国籍以上の社員が働く同社でAttunedの導入をリードしている、石川 史様にお話を伺いました。石川様は、SONY出身、グローバル人事、ヨーロッパ駐在などを経て、ソフトバンクビジョンファンドの前身組織の人事・採用担当、SOFTBANK ROBOTICS AMERICAでHead of Human Resourcesを務めた後、現在、TXではChief People Officer(CPO)に就任されています。

【課題】様々な国のメンバーが入り混じる中で個人ごとの価値観をコミュニケーションを円滑にする共通言語を作りたいと考えていた

【解決策】Attunedのモチベーターレポートの結果を社員全員で参照し、定期的な1on1を実施

【結果】部門のマネージャーが部下をマネジメントする際の共通サポートツールができ、本音の対話を実現

個人ごとに異なる価値観を理解したうえで、健全な会社文化を育む

さまざまな国から集まったメンバーが入り混じり会社が大きくなっていく中で、コミュニケーションを円滑にする共通言語を作りたいと考えていました。

TXが大切にしている価値観は、「TXの5つの原則(PRINCIPLES)」として明文化し定着させていますが、組織を大きくしながらこれを継承するためには、まずは個人の価値観を理解しようとすることが出発点になると考えています。

個人ごとに異なる価値観を理解していくためには、Attunedを使った内発的動機の分析が役立つと考えています。

モチベーターを社内コミュニケーションに生かし、相互理解の時間を短縮

TXは、候補者が尖った技術を身につけていることはもちろんですが、「TXの5つの原則(PRINCIPLES)」にあう価値観を持っていることを重視して採用活動を行っています。

会社と候補者の価値観を双方よく理解した上で、採用となったメンバーがチームに入るときには、AttunedのモチベーターレポートをAttuned用のSlackチャネルで共有しています。まずは、社員全員がそれを参照することで、入社するメンバーとの共通の話題が提供できます。

マネージャーには、モチベーターの意味を理解してもらうため、部下とコンフリクトを起こす可能性のあるモチベーターギャップのポイントなどを理解する研修を受けたうえで、メンバーとの定期的な1on1を実施しています。

Attunedが国ごとの文化をこえて個々人の内発的動機に着眼していることも大きなプラスでした。TXはさまざまな国・地域から集まった多国籍チームです。Attunedは仕事における価値観を可視化できるので、文化が異なる部下との間でも共通の軸で対話ができ、相互理解のサポートツールとして有用です。同じ軸でコミュニケーションできることで、メンバー一人ひとりの心理的安全にもつなげられると考えています。

また、私自身、Attunedのモチベーター・レポートを、あらゆる社内コミュニケーションの機会に活用するよう心がけており、旗振り役になって定着を図っています。

「動機」を理解すれば、「方向性の違い」は起きにくくなる

Attunedの導入により、部門のマネージャーが部下をマネジメントする際の共通サポートツールができました。マネージャー陣はエンジニアがほとんどということもあり、Attunedの背後にある心理学的なサイエンスにまで興味を持っており、Attunedの研修の際にも深い質問を繰り出していました。Attunedの結果を使って自然にコミュニケーションに使えるマネージャーは、自ずと結果を出すことができると考えています。

さらに、「必須」のモチベーションと仕事環境を合わせて分析して解釈をしていくことで、社員の仕事の不満の原因が想像しやすくなるので、本人との本音での会話を作り出しやすいと感じています。

例えば、以前働いていた会社では、ある社員が「実際の仕事はやりたいことと違う」と言って辞めたいと言ってきた時、私が人事マネージャーとして話を聞いていくと、組織が取り組んでいることとの方向性と大きく違っていないのだが、本人だけが違っていると思い込んでいると感じることがありました。

もし、その社員の内発的動機に沿った動機づけが、日頃からチームの中で自然にできていれば、サプライズの「方向性の違い」は起きにくくなると考えられます。

なので、Attunedを使い、日頃から一人ひとりの動機を理解しそれを満たす行動が自然にできていれば、その人の思うやりたいことの方向性と組織のビジョンを調整したり、少なくとも「ずれ」をもっと早くから認識できるはずです。そういう意味で、Attunedは組織をサポートするためのツールとして鍵になると考えています。


今後の予定

今後は、社員が仕事を通じて成長し続けられる組織をつくるため、チームのコミュニケーションの有効性を見える化していきたいと考えています。例えば、メンバーに対してマネージャーが適切なコミュニケーションをとれているかを尋ねる、「下180度評価」を実施していきたいと考えています。マネージャーが部下のモチベーターを自然に意識できるようになれば、この結果は向上していくのではないかと仮説を持っています。

また、採用の前にカルチャーフィットを見るための参考資料としても、Attunedを使っていくなど、内発的動機づけの持つ力のを引き出すことに集中し、社員のやる気を高め、社内のポジティブなエネルギーを高めていきたいと考えています。

編集後記

最後に、シリコンバレーのロボティクス領域のスタートアップや大企業での、HR Headとしての幅広い知見や経験をお持ちの石川様に、アーリーステージの人事として最も大切にしていることを伺いました。

「私は、一人ひとりが自律してキャリアを切り開いていける組織をつくりたいという思いがあります。TXのような、いままで誰も実現していないビジョンを掲げる、アーリーステージでのベンチャー組織の成功には、自分の考えで動ける自律型人材は不可欠です。

自律人材に最高の仕事をしてもらうためには、人事はシステマティックに平均的な社員に対してサービスを提供するのではなく、一人ひとりの動機に焦点を当てて、社員のキャリアをジャーニーとして捉えて、そのジャーニーに並走する存在であることが大切だと考えています。」


「カスタマー・ジャーニー」のように社員のキャリアを捉えて、その時々の志向と内発的動機への理解をもとにした動機づけを行う。まさに「組織と個人の最速成長を引き寄せる」ことへと邁進されている石川様の洞察と行動力に大変感銘を受けました。(Attuned 吉田)

取材日:2021年4月21日

User caseEQIQ