新任リーダーが信頼と信用を築くための6つのステップ(Part2)

こちらは新任リーダーが信頼と信用を築くための6つのステップPart2です。Part1を読むには、こちらから

まず突然ですが、あなたがチームのリーダーとしてこれまで全く面識のないメンバーが多くいるチームを率いるように頼まれたとします。

しかもあなたは、そのチームメンバーが必要とする仕事のやり方がわからないだけでなく、5人のうち4人は大学を卒業したばかりの新入社員で、その職務の経験もほとんどない状態です。

メンバーが日々の仕事におけるあなたの力量を知らないのに、あなたは新しいリーダーとしてどうやって信頼と信用を築けばいいのでしょうか?

私は、まさにこのような状況に遭遇したことがあります。東京にあるテック系の人材紹介会社の候補者ソーシング・チームにおいて、自分自身がソーシングや採用活動をしたことがないのにリーダーを依頼されたことがあります。

私がチームリーダーになってから6ヶ月後、チームのKPIは40%以上向上し、私のチームメンバーのうち3人が昇進しました。

ここからわかったことは私の専門知識のなさが、むしろ私の新任リーダーとしての生活を楽にしてくれたということです。技術的なアドバイスができない分、リーダーシップに100%頼って、メンバーのモチベーションを高め、成功するための仕組みを構築しなければならなかったのです。

この記事ではPart1で紹介した新任リーダーが信頼と信用を築くための6つのステップ

1 あえて聞き手にまわる

2 人々に安心感を与える

3 部下にきちんと評価されていると感じてもらう

に引き続き、ステップ4から紹介します。

 
 
 
 

ステップ4:チームの方向性を明確にする

4.1 チームの成功がどのようなものか認識を一致させ、目標を立てる

多くの企業は野心的で大きな目標を立てます。例えば、

「市場でX位になる」

「売上をY%伸ばす」

「NPS(ネットプロモータースコア)をZに上げる」

あるいは上記のすべてを設定することもあるでしょう。

このような目標に問題があるわけではありません。しかし、チームのほとんどがこのような目標に固執しているとしたら、それは大きな間違いかもしれません。

それは、彼らが熱心でないからではありません。むしろ彼らにやる気があったとしても、そのような目標はチームメンバーにとって個人的に意義がなく、今日具体的な行動を起こす気にさせるには現実的でないからです。

いくつかのモチベーションのプロセス理論、例えばブルームの期待理論(Expectancy Theory)やロックの目標設定理論(Goal Setting Theory)からは

・人は自分の価値あるものにつながる目標を追求しようとすること

・複雑なタスクやVUCAの時代における不確実な状況に取り組む場合、遠くの目標より具体的で近くの目標の方がより良い成果をもたらすこと

が分かっています。

もしあなたが新任のリーダーとして、「売上/リード/NPSなどを[高い数字で]増やす」というような遠くて野心的な目標を設定した場合、成果志向や競争心が強い一部のチームメンバーは、野心的な目標を達成すること自体が本質的な動機づけになるため、モチベーションにが向上する可能性があります。

しかし、他の成果志向や動機づけを持つ人たちからは不安や戸惑いの声が上がるかもしれません。

チームのモチベーションを高めるためには、目標設定をより具体的で魅力的なものにし、チームメンバーの一人ひとりの価値観と結びつける必要があります。

Attunedのようなツールを利用することで、チームメンバーの価値観を正確に把握することができます。もちろん、そうでない場合でもチームの目標と有意義だと感じる価値観とのつながりを明示すれば、間違いはないでしょう。

1 . 専門的な学習と能力開発の機会

2. キャリアアップの機会
3. フィードバックと評価

4. 部下や同僚を助ける機会。
5. 他者との有意義な関係構築

新任リーダーは成功とはどのようなものか、チームメンバーの認識を一致させるには、何を重視しているかを理解するために時間を費やし、チームの目標を達成することが、どのようにメンバーの評価結果につながるかを明確にリーダーが説明することが必要なのです。


4.2 2から3の目標に集中すること

新任リーダーが方向性を明確にする上で、多すぎない目標(目安は2つから3つ)に焦点を当てることも重要です。

ある企業で、来年度の戦略目標を18個も掲げているのを見たことがあります。果たしてCEOを含め、誰もそのすべてを覚えていないのではないでしょうか。

もちろん、どの企業も常に多くのプロジェクトや検討事項を抱えており、おそらく18個よりずっと多いはずです。しかしリーダーとしての責任を果たす上で大切なのは重要な目標に優先順位をつけ、具体的で意味があり、記憶に残るような、2から3個以下の体系的な目標に抽出することです。

そして焦点を絞りシンプルにしようとすると、さまざまな間違いが生じます。私は、あまりに曖昧で、誰もその意味を理解していない目標を設定した新任リーダーを見てきました。3個以上の目標を設定してはいけないとわかっていながら、その3個に収めきれないほどの多くのことを盛り込もうとしているときに、このようなことが起こります。
さらに、リーダーが設定した目標があまりにもバラバラで、何を優先させればいいのかわからなくなり、チームの時間とリソースをめぐって互いに対立してしまうこともありました。これは、優先順位が異なる人たちが最も重要なものは何かということを確認するのに十分な時間をかけず、全員を満足させようとするあまり、実態のない焦点を合わせたように見えてしまう場合に起こることが多いのです。

ですから、チームの方向性を明確にし、新任リーダーとしての信頼を築きたいのであれば、自分自身とチームに以下のことを問いかけてみてください。


1.  今年、チームとして達成すべき最も重要なことは何だろうか?

2. そのために、3ヶ月で達成すべき最も重要なことは何だろうか?

3. そして、そのために今週達成すべき最も重要なことは何だろうか?


4.3 目標につながるマイルストーンとステップの概要を明確にし、モニタリングする

先程の話に戻ると、私自身、そしてチームメンバーの多くも、候補者ソーシングの方法について全く理解していなかったため、最も優先順位の上位にある目標と、それを達成することがチームメンバーにとってどのような意味を持つのかを一致させるだけでは不十分でした。

もうひとつ必要だったのは、「どのようなステップを踏めば目標達成につながるのか」を正確に把握することだったのです。

私自身はその仕事をしたことがないので、チームに指示することはできません。でも、2つだけできることがあります。

1つ目はその仕事のやり方を熟知している人たちの仕事を研究し、何が成功の要因だったのかを理解すること。

2つ目はチームの中で最も経験豊富なメンバーや、実務経験のある同僚に、新しくチームに加わった人たちを助けてもらうことです。

この経験は、私が新任リーダー、そしてマネージャーとして成長する上で非常に貴重なものでした。私の仕事は、成功のために何をすべきかを事細かく指示することではなく、その知識を身につけるための仕組みや人間関係を円滑にすることだと教わったのです。

これを理解していないことが、多くの新任マネージャーがこれまでの成功に基づいてリーダーに昇格した後に苦労する理由の一つなのです。

そうなると、多くの新任リーダーは、自分の専門分野の能力に頼ってチームを成功に導こうとするのが自然な流れです。

しかしどのような役割においても、優れたパフォーマンスを発揮する方法はさまざまです。チームメンバーを成功させるために良かれと思って自分のやり方を強制しようとすると、メンバーが自分の強みや価値観を基にした自分なりのやり方を発展させることを、つい妨げてしまうことがあります。

同時に、チームのパフォーマンスをより体系的に見るために、適切な目標、インセンティブ、システム、プロセス、リソース、人間関係を整備し、状況や各メンバーのニーズに応じて可能な限り柔軟に調整することが求められています。新任リーダーの成長のためにこのようなリーダーシップ能力を高めることの重要性が軽視されがちです。


ステップ5: 目標の早期達成のためのデザイン

今日のリーダーには緊急かつ重要な事柄の中から1つか2つの優先事項を選び出し、そこに入らなかったタスクを整理するためのツールが必要なのです。


私が長年にわたって特に役に立ったと思うツールが2つあります。

1 価値-複雑性マトリックス

2 レバレッジポイントを特定する

5.1 価値-複雑性マトリックス

一見したところ、価値-複雑性マトリックスはアイゼンハワー・マトリックスに似ています。

しかし、注目すべき重要な違いが2つあるのです。

まず、緊急性を複雑性に置き換えることで、他人がやってほしいと思っていることから、自分がすぐにできることに焦点を移し、自分やチームの優先順位を管理する主体性とチーム内での地位を担保することができます。実際には、すべての面で急激なスピードで進める必要はなく、仕事が進展しているという安心感さえあればいいのです。

あなたやあなたのチームが最小限の努力で成功できる分野を特定することで、あなたは素早く前進し、自信を持ち、より複雑な課題に取り組むために必要な気持ちと余裕の両方を手に入れることができるのです。
そして、ほとんどの場合、比較的簡単に達成できるだけでなく、チームのメンバー、自分の上司、同僚、顧客など、重要なステークホルダーにとって価値の高い成果を特定することができます。

新任リーダーであれば、このマトリックスの左上にある、価値が高く、複雑度の低いところから始めることが、能力を発揮するための最善のチャンスでしょう。

アイゼンハワー・マトリックスと異なり、かつより注目すべき点として、重要性を価値に置き換えることで、「何が重要か(常に多すぎる)」から「これらの重要なプロジェクトが、誰に、どのような価値を提供するか」に焦点を移し、思考と議論を補強することができることが挙げられます。
そうすることで、すべての目標が重要だと思われるとき、マトリックスは、あなたとあなたのチームがそれぞれの価値をより批判的に評価することを促し、あなたとさまざまなステークホルダーの視点から見た成功の姿を詳細かつ魅力的に描くための重要な一歩を踏み出すことができます。

多くの場合、目標をより詳細に検討することで、非常に重要視されていたいくつかの事柄の重要性が下がり、より明確で無駄のない優先順位が明らかになり、なぜこの目標が重要なのかについてチームの足並みを揃えることができます。

新しいリーダーとして方向性を明確にする場合、今後6〜12カ月の最優先事項は、ほとんどの場合、マトリックスの「高価値・高複雑度」の象限から来ることになります。

しかし自信、信頼、信用を築くのに6〜12カ月も待つわけにはいかないので、まずは、マトリクスの「価値が高く、複雑性が低い」象限から、クイックウィンを達成することから始めるとよいでしょう。

コツは、6〜12ヶ月の長期的な目標と小さな成功がつながっていることを確認することです。
言い換えれば、小さな成功は主な目標から切り離されたり、付随するものではなく、目標達成に向けた最初のステップとして、目標達成に不可欠なものであるべきなのです。


5.2 レバレッジポイントの特定

すべての組織、すべてのチーム、すべての人は複雑なシステムであり、動く部品や変数が多すぎて、そのすべて、あるいは大部分に影響を与えることはできません。そのため、マイクロマネジャー やElon Musk によって最近「広められた」言葉である「ナノマネジャー」は、多くの場合、障害となります。

従業員の勤務時間や勤務場所、あるいはTwitter社のエンジニアが印刷し、数時間後にシュレッダーにかけていたコードなど、システムのあらゆる側面を管理しようとするあまり、全体像が見えなくなるだけでなく、自分の介入が実際に有用で必要となる最も重要なレバレッジポイントを見失う危険性があるのです。

アメリカの著名な環境保護主義者でシステム思想家であるドネーラ・メドウズは、レバレッジポイントを「複雑なシステムの中で、ある一つのことを少し変えるだけで、すべてに大きな変化をもたらすことができる場所」と定義しています

彼女は、あらゆる複雑なシステムにおいて、介入するのに有効な場所として12のレバレッジポイントを挙げ、その有効性の高い順にランク付けしました。例えば、週に何時間働くかといったパラメータが一定であっても、実質的な影響力を発揮することはほとんどありません。
確かに、週40時間の代わりに50時間、50時間の代わりに70時間働くことはできますが、せいぜい限界的なリターンしか得られないのです。また、疲労の蓄積により視野が狭くなり、軽率な決断を下すようになる可能性もあります。

これに対して、ポジティブなフィードバックのループは、かなり高いレバレッジを持つポイントです。このループは、プロセスを減速させたり加速させたりする可能性があり、小さな勝利から時間の経過と共に大きくなるフライホイール効果を生み出します。だからこそ、リーダーはインパクトのあるフィードバック、特にポジティブなフィードバックを定期的(できれば毎週)に行うことが重要なのです。

目標やインセンティブ、情報の流れの仕組みなども有効ですが、それ以上に重要なのが「マインドセット」です。
自分自身を含めて、誰かに「もっとポジティブになりなさい」「不安を取り除きなさい」「感情の浮き沈みを小さくしてください」と言うだけではダメなのです。マインドセットを変えるには、その人のデフォルトの反応を変えるような経験をしなければならないのです。

ステップ6:強固なチームOSの構築

昔はそうではありませんでしたが、今では、リーダーやメンバーの一人と10分も話し合えば、そのチームがうまく機能しているかどうかがわかります。もし、以下の10項目のうち2つ以上に大きなギャップがあれば、チームのパフォーマンスとモラルは大幅に改善される可能性が高いでしょう。

私も、新しいチームを引き継いだ最初の3〜6カ月は、この10項目に重点を置いています。
そして、これらのプロセスがすべて整ったところで、さらに良いものにすることに注力します。

それが、下の図にある10項目です。

まず、このリストを読んで直感に反するかもしれませんが、マネージャーとして、これらのプロセスがすべて整備され、チーム内でスムーズに機能していることを確認する責任がある、ということです。もちろん、これらのプロセスをすべて導入する責任があなたにあるわけではありません。

強力な人事部門があなたをサポートしている場合、彼らは会社レベルでのこれらの責任として、上記のリストにある「人事側」のプロセスの導入と微調整を行うことがほとんどです。しかしこれらの人事プロセスのいずれかが導入されていない、あるいは可能な限りうまく機能していない場合、マネージャーとしては人事と積極的に連携して、できるだけ早くその導入や改善に取り組むことが最善の策となります。


6.1 強固なチームOS を作るためにチームができること

6.1.1 目標とインセンティブ

チーム全員が今年達成すべき最重要な目標を知っていることが大切です。以下は私が考える、そのために達成すべき具体的な指標です。


  • 今年の戦略的目標は3つ以内であり、チーム全員がその目標を理解している。

  • 戦略的目標達成のための第一歩として、数ヶ月ではなく数週間で達成できる小さな成功を3〜5個、明確に特定している。

  • 戦略目標は、今期の目標を3つ以内に細分化し、年末までに目標を達成するために今期何を達成すべきかを、あなたとチームメンバーの両方が理解している。

  • 毎週、四半期ごとの目標を達成するために何に注力すべきかを話し合っている。

  • チームの目標を学習やキャリアアップの機会、ポジティブなフィードバックや評価、他の人々の生活に変化をもたらすこと、個人的に関心のある問題の解決など、チームメンバーが重視する特定の成果やインセンティブと明確に関連付けることができる。


6.1.2 役割と意思決定

チームメンバーは、自分が何に対して責任を負っているのか正確に把握していることが大切です。以下はそのために必要な私が考える具体的な指標です。


  • チームメンバーは、自分の責任の所在について発言することができ、その仕事は自分の強みに沿っている。

  • 説明責任は意思決定権や必要なリソースと密接に関係している。誰かが何かに責任を持つことで、その決断が二の次になることを防ぐことができる。

  • チームメンバーはチーム内での意思決定の方法、自分で決められる裁量、承認を得るタイミング、決定前に相談すべき人、知らせるべき人などを明確に理解している。

  • 重要な意思決定の前に、チームメンバーおよび関連するステークホルダーに相談する。


6.1.3 会議

会議はチームメンバーの労働時間の 40%以上を占めていないことが好まれます。以下はそのためにできる具体的な行動です。

  • チームメンバーのカレンダーには、少なくとも 2 回は会議のない長い期間(1日または半日)が設けられ、気が散ることなく集中的に仕事ができるようにする。

  • すべてのチームメンバーは理想的には毎週、少なくとも隔週で、マネージャーとの1on1の時間を持つ。

  • 毎週チームミーティングを行い、戦術的な問題、進捗状況、ボトルネックについて話し合う。

  • 定期的に行われる反省会はチームが経験から学び、うまくいっていることをさらに強化し、改善の機会を特定するために役立つ。

  • マネージャーが自部門の隣接チームのリーダーや、部門を超えた関連チームと定期的にミーティングを行う。

  • 会議は定刻に始まり、定刻に終わる。明確なアジェンダがあり、進行役が指名され、必要であればメモ係もいる。

  • 各議題について、会議の目的が明確である。例えば、情報の共有や要求、意思決定、次のステップの決定など。

  • チームメンバーは安心して反対意見を述べることができ、ファシリテーターは全員が貢献できるように促す。

  • 会議の最後には、特定の担当者に期限付きで明確なフォローアップの行動が割り当てられ、それがモニタリングされる。


6.1.4 モニタリングとフィードバック
チームの年間目標や四半期目標に向けた進捗を明確にするために、週に一度、チーム内で話し合うモニタリングの仕組みが必要です。そのためにできることは以下のことです。


  • チームメンバーは、自分が期待に応えているかどうか常に明確に把握することができる。

  • ポジティブなフィードバックはできるだけ頻繁に、理想的には少なくとも週に1回、各チームメンバーに対して行われる。

  • ポジティブなフィードバックがインパクトのあるものになるよう、具体的で、重要な強みや価値感を強化し、チーム目標に関連づけ、個人に合わせて、複数の情報源から提供されるように工夫されている。

  • 細かいミスを指摘することはないが、業績不振や容認できない行動に関する深刻な問題には迅速に対処する。

  • どんな間違いや失敗も学習の機会として扱われ、チームメンバーは改善のための有意義なサポートを受けることができる。

  • ポジティブなフィードバックが奨励され、チームメンバーはマネージャーに対する建設的な批判を安全に発言することができる。

  • チームメンバーは、お互いに建設的なピアフィードバックを安心して行うことができ、問題があればお互いに直接対処している。

  • チームメンバーは非暴力コミュニケーションなどのアサーティブコミュニケーションのフレームワークのトレーニングを受け、日常的にこれらのスキルを使用することができる。


6.1.5 研修

チームメンバーが専用の自己啓発に関する予算を持っているか、他の様々な手段で研修の機会を設けることがチーム総合力の向上につながります。以下はそのための具体的な施策です。


  • チームメンバーには、定期的に社内外の研修の機会が設けられている。

  • チームメンバーは、市場、顧客環境、競争環境における主要なトレンドに関する情報に定期的に触れる機会がある。

  • チームメンバーはチーム内外で自分の知識を共有する機会がある。

  • チームメンバーはコーチング、メンタリング、理想的なメンタルヘルスの専門家にアクセスし、専門的かつ自己啓発に関する個別支援を受けることができる。

6.2 強固なチームOSを作るために人事部門ができること

6.2.1 採用

会社としてのビジョンが明確に打ち出され、候補者にとって魅力的ですべてのチャネルで説得力のあるコミュニケーションがなされていることが大切です。言い換えれば、候補者にとって他の選択肢ではなく、なぜあなたのチームに参加する必要があるのかが明確になっているのです。以下はそのためにできる具体的なことです。

  • 給与はチーム全体で公平であり、求める人材レベルに見合ったもので、市場動向に基づいて少なくとも年に1回は調整されている。言い換えれば、同じ仕事、同じ経験レベルであってもある人には他の人より大幅に高い給料を払い、ある人には低い給料を払うということを防ぐ。

  • 市場の上位10%の人材を平均的な給料で雇おうということもなく、チームメンバーが「今年はインフレでかなり高くなっている」と言うのを待っているわけでもない。

  • 人事部門と連携し、有効なソーシング・チャネルをすべて有効に活用し、紹介者にはインセンティブを与え、人材紹介会社との関係を積極的に管理し、競合他社に人材を送る前に、最高の人材を送り込む。

  • 求人票は現実的で魅力的であり、期待値に加え価値提案を強調し、女性や少数派の候補者の応募を促すような表現になっている。例えば、すべての基準を満たしていなくても応募するように明示的に奨励している。

  • 個人の能力に基づいた構造化された面接プロセスが実施されており、そのプロセスにおける面接回数は4回以下である。採用するための能力を測るために使用できる状況・行動面接質問、これらの質問に対する優れた回答/許容できる/できないの判断基準などが、すべての面接官に明確に提示されている。

  • 採用プロセスに携わる全員が面接に関する徹底したトレーニングを受け、一貫した方法で面接者を評価し、候補者が安心して面接に臨めるようにし、面接で候補者が自ら質問する時間を十分に確保できるようにする。

  • 面接官同士が連携し、面接メモを共有することで、候補者が何度も同じ質問をされることがないようにしている。

  • すべてのタッチポイントで優れた候補者体験を提供するために一貫した取り組みが行われ、その効果はモニタリングされ、必要であれば改善される。

6.2.2 オンボーディング
新入社員には、初日に雇用契約書、パソコン、電話、机、椅子、キーカード、バッジ、名刺など(該当する場合)が用意されておく必要があります。以下はそれ以外のオンボーディングで大切なことです。

  • 電子メールアカウントやグループ、カレンダー、インスタントメッセージ、その他のソフトウェアツールなど、関連するすべてのシステムへのアクセスが、初日までに適切に設定されている。

  • 新入社員は関連するすべてのチームおよび会社の会議に招待されている。

  • 新入社員は入社時のチェックリストを受け取り、入社時のさまざまなステップとオンボーディングの期間の自分の責任を明確にする。

  • 新入社員は試用期間中にどのような期待に応えれば良いかが明確になっている。

  • 新入社員は、休日の申請や経費の管理など、事務処理に関する包括的なトレーニングを受けている。

  • 新入社員は会社の歴史、組織、戦略について体系的な情報を得ることができる。

  • 新入社員は、業務に関連するスキルについて十分なトレーニングを受けている。

  • 新入社員がチーム外の人々と知り合う機会を設けるなど、社会的な受け入れに細心の注意が払われている。

  • マネージャーは少なくとも週に1回新入社員と面談し、必要であればより頻繁に面談の機会を設けている。

6.2.3 キャリアプランの構築

チーム内の各役割には能力に基づいた職種、給与グレード、キャリアパスが設定されており、チームメンバーは1〜2年ごとに次のレベルの基準を満たせば、キャリアをステップアップしていくことができます。以下はそのためにできる具体的なことです。

  • メンバーの能力には、テクニカルスキルと対人スキルの両方が含まれ、パフォーマンスマネジメントや専門的な学習・開発活動の基準として使用される。

  • リーダーシップを発揮することを目指すチームメンバーにはトレーニング、コーチング、メンタリングの機会が提供される。

  • リーダーを目指さないシニアチームメンバーには専用のキャリアパスが用意されている。

  • チームメンバーには可能な限り組織内での横方向のキャリア移動の機会が与えられている。

  • キャリアに関する会話は、パフォーマンスマネジメントプロセスの一部として各チームメンバーと少なくとも年に1、2回行われる。

6.2.4 業績管理
業績評価の会話は少なくとも年に2回行われ、チームメンバーはその間に継続的かつタイムリーなフィードバックを受けます。以下は業績管理のために必要なコツです。

  • 業績評価は、明確で透明性のあるコンピテンシーに基づく基準に基づいて行われる。

  • 業績評価には上司の評価に加えて、チームメンバーからの業績評価と同僚からのフィードバックが含まれる。

  • 同僚からのフィードバックはチーム内外から求め、すべての関係者を巻き込む。

  • 業績評価ではチームメンバーが不意打ちを食らうことなく、自分が期待を上回っているか、満たしているか、あるいは満たしていないかを十分に認識できるようなフィードバックが継続的に与えられる。

  • 希望すれば特定の人物に特定の能力に関するフィードバックを求めることができるなど、チームメンバーは少なくともレビューのプロセスをある程度コントロールすることができる。

  • 期待に応えられないチームメンバーをサポートするために、明確で透明性のある業績改善プロセスが用意されている。

  • チームメンバーには、業績評価の一環として、上司に対するフィードバックを行う機会も与えられています。

6.2.5 社員のエンゲージメントの測定

社員のエンゲージメントは科学的に有効で、統計的に信頼できる調査手段を用いて、少なくとも四半期ごとに測定されるのが理想的です。以下はエンゲージメント測定をしたその先にできることです。

  • エンゲージメント調査の結果とフォローアップのための計画は、速やかにチームメンバーに伝えられる。

  • チームメンバーはフォローアップ措置の進捗状況を定期的に報告され、これらの措置の有効性はその後の調査で測定される。

  • 管理職は研修、コーチング、メンタリング、理想的にはメンタルヘルスの専門家を定期的に利用することで、継続的にリーダーシップスキルを向上させ、リーダーとしての肉体的・精神的ストレスに対処することができます。


この記事は当初の長さより短く編集されています。完全版を読むには、SubstackのThe MotivatingManager Monthlyをご覧ください。

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Daniel Bodonyi
Founder, MotivatingManager