DEI&Bとは?〜キャリア自律を助け、働きやすい職場のために大切な『ビロンギング』〜

リモートワークの増加によって仕事への価値観が大きく変わる中、「The Great Resignation(大退職時代)」の潮流がアメリカではバズワードとなっており、Gallup社の調査によると、アメリカの従業員の約半数が 「積極的に仕事を探し、転職の機会をうかがったりしている 」といいます。日本でも終身雇用制の崩壊から人材の流動化の波は激しさを増しており、優秀な人材を引き留めることがマネジメント層の課題になっています。

また、日本では2023年度から上場企業に対して人的資本に関する情報開示が義務化されることにより、ダイバーシティを推進する取り組みが本格化してきています。

そのような中で、欠かせない考え方の一つがDEI&Bです。D&IやDEIは聞いたことのある人が多いとは思いますが、それにBelonging(ビロンギング)を加えたDEI&Bの4つが重要だという考え方です。

この記事ではDEI&Bがどのような考え方なのかやD&IやDEIとの違いを解説し、キャリア自律を助け、一人ひとりがやりがいのあると思える職場づくりを手助けするためにできる対策を紹介します!

DEI&Bとは?個を活かす人的資本経営にもつながる

DEI&Bとは、Diversity(ダイバーシティ:多様性)、Equity(エクイティ:公平性)、Inclusion(インクルージョン:受容・包括)、Belonging(ビロンギング:帰属意識)の頭文字をとったもので、近年多様性を活かしコミットメントを高める職場を作り出すための枠組みとして、欧米を中心に大きな注目を浴びています。

DEI&Bは多様で一人ひとりの個性を尊重する職場を促進することを目的とした枠組みです。

異なるバックグラウンドや経験を持つ人々が価値を感じ、尊重され、仕事へのやりがいを感じられるような職場を構築するために必要な考えを表しています。DEI&Bは多様性や個を活かす職場作りという点で、社員一人ひとりの個の力を最大限に発揮するための取り組みである人的資本経営に欠かせない考え方です。

従来「D&I」や「DEI」の重要性が語られてきましたが、ここにBelonging(ビロンギング)が加わり、DEI&Bとなることによって組織の中の個人がいかにやりがいを持って働ける職場づくりを進めていくかが大切になっていることを示しているのです。

 
 

以下にDEI&Bの各要素を順番に説明していきます。

D:ダイバーシティ(多様性)

ダイバーシティ(多様性)は組織やコミュニティ内の個々の違いを認識し、尊重することです。ダイバーシティには人種、民族、性別、年齢などの外から見てわかりやすい表層的ダイバーシティと、価値観、バックグラウンド、働き方など表面からはわかりにくい違いである深層的ダイバーシティの二つがあり、どちらも大切です。

ダイバーシティで多種多様な人材が集まるチームや組織では新しい視点やアイデアをもたらし、イノベーションや創造性を促進できるのです。

E:エクイティ(公平性)

エクイティ(公平性)はすべての人が同等の機会や情報へのアクセス権を持ち、プラスとマイナスの影響を受ける可能性を誰しもが同じである状況を指します。企業側から個々のニーズや状況に応じた支援を提供し、誰もが公平にチャレンジや何かを成し遂げられる状況を目指します。

エクイティはよくEquity(平等)と比較されますが、この二つは少し違うことも抑えておきましょう。Equality(平等)が一人ひとりの違いを考慮せず、皆に同じ情報や機会を提供するのに対して、エクイティは一人ひとりの違いや状況に合わせた情報や機会を提供し、その人に最適な職場を目指すのです。

I:インクルージョン(受容・包括)

インクルージョン(受容・包括)は組織がすべてのメンバーを受け入れ、その意見や貢献を尊重し、価値を認めることです。インクルージョンがある状態では自分自身の意見を積極的に発言し、それが尊重されるため、心理的安全性を確保した職場を実現するのを手助けします。重要な意思決定に参加し、リーダーシップを発揮できるような環境では社員の自律性も高めることができます。

また、インクルージョンが生まれることで「この職場にいたい」という組織へのコミットメントが高まり、社員のエンゲージメント向上や離職率の低下に寄与できるのです。

B:ビロンギング(帰属意識)

ビロンギング(帰属意識)は社員一人ひとりが組織の一員であることに誇りを感じ、自分の存在が会社から大切であると感じられる職場の状態です。ビロンギングは仕事において人々が安心感や快適さを感じ、より生産的でやりがいのある職場づくりが期待されます。

つまり、ビロンギングしている状態は「本来の自分」をそこに持ち込み、仕事に対して自らやる意味を見つけ、仕事へのコミットメントが高いことを指すのです。

 
 

DEI&Bが大切な理由:モチベーションとより密接な関係

DEI&Bとモチベーションは密接な関係にあり、DEI&Bを実践することができている組織ではモチベーションが高い傾向にあります。社員の多様性を尊重し、平等な機会を提供し、全員が議論に参加しやすい環境を整えることで、社員のモチベーション向上につながるのです。

DEI&Bが十分な組織では、社員が自分らしさを表現でき、周りの人の共感やサポートを得られることで自己効力感や職場での満足度が高まり、結果として社員のモチベーションやエンゲージメントが高まるのです。

一方で、DEI&Bが不十分な組織では仕事において自分自身を上手く表現できず、自分らしく働けないと感じ、職場でのストレスが高まり、モチベーションの低下を招くのです。

DEI&Bで本当のダイバーシティを実現する鍵はモチベーションの可視化

DEI&Bで本当の意味でのダイバーシティを実現するためには個人の価値観やバックグラウンドのダイバーシティを測っていくことが必要です。一人ひとりのモチベーションの源泉や価値観は違うため、その多様性があるからこそ会社は競争力を維持できるのではないでしょうか。Attunedは一人ひとり異なる価値観を可視化するツールであり、15分ほどのアセスメントを受けていただくだけでその人が仕事をする上で大切な価値観を見える化することができるのです。

DEI&Bを実践する利点4つ

ではこのDEI&Bを企業は実践することでどのようなメリットがあるのでしょうか?ここでは大きく4つに分けて紹介します。


1 創造性を高め、イノベーションを起こす組織へ

多様性があり、DEI&Bを意識したチームはさまざまなバックグラウンドや経験を持つメンバーが新しいアイデアや視点を持ち寄ることができます。これは問題解決や意思決定のプロセスの中でイノベーションを引き起こす可能性が高まるのです。


2 社員のエンゲージメントを高め、離職率の低下へ

DEI&Bが実践された職場環境では社員の意見やアイデアが尊重され、自分がこの組織に属していると感じるため、社員のエンゲージメントと職場への満足度が向上します。これにより、生産性やチームワークが向上し、社員の離職率が低下することが期待されます。

3 顧客や市場への適応力の向上

DEI&Bを高めた組織では顧客や市場のニーズにいち早く対応し、新しい機会や市場に適応する能力が向上することが期待できます。これは、異なるバックグラウンドや視点を持つ社員が顧客や市場の動向をより正確に違う角度から把握することで多角的な視点から対応策を講じることができるのです。


4 企業のブランドイメージの向上

DEI&Bの取り組みを積極的に行うことで、企業のブランドイメージの向上が期待できます。これは顧客や社員だけでなく、投資家やその他のステークホルダーが企業が社会的責任を果たすことに対して、多様性があり、公正で働きやすい職場環境を提供していることを評価するためです。

DEI&Bを実現するためには、組織がダイバーシティを評価し、エクイティを促進し、インクルージョンを実践し、ビロンギングを醸成する具体的な取り組みを行う必要があります。例えば、採用や評価などのプロセスの見直し、研修制度の充実、フィードバックの促進などが挙げられます。

DEI&Bの『ビロンギング』を詳しく解説

ではこれまでダイバーシティを尊重した枠組みの中で、D&IやDEIでは重要視されていなかったですが、DEI&Bではビロンギングがなぜ含まれるようになったのでしょうか?

D&IとDEIが重要視されてきた理由

ビロンギングは初期のDiversity and Inclusion(D&I)やDiversity, Equity, and Inclusion(DEI)の枠組みには含まれていませんでした。その理由はこれまでD&IやDEIの考え方が重視されてきた背景として、組織に多様な人々がいることを確認し、誰もが平等に議論に参加でき、組織に貢献する機会を得られる環境を作ることに焦点が当てられていたためです。また、D&IやDEIは人種、民族、性別、年齢などのダイバーシティを尊重し、インクルージョンされ、公平性を達成するために作られました。

 
 

ビロンギングが大切な理由

しかし、時が経つにつれ、人々が職場で真に歓迎され、大切にされ、居心地が良い職場を作るためにはD&IやDEIでは不十分であると考えられています。そこで登場するのが、DEI&Bの「Belonging(ビロンギング)」という概念です。ビロンギングとは集団や組織の中でつながっている、評価されている、サポートされていると感じる感情的で心理的な体験のことです。それは、職場で働く個人が組織の中での不可欠な一部であると認識してもらうことができ、そこで本物の自分を発揮し、生き生きと働くことができます。

社員が仕事や職場に対してビロンギングの感情を持つことで、社員の生産性や仕事へのコミットメントが高まるという研究結果があるため、ビロンギングに焦点を当てることは重要なのです。また、健康やウェルビーイングの向上、イノベーションと創造性の向上にも寄与します。ビロンギングを育むことで、組織はより協調的な職場環境を作り出し、働くすべての人に利益をもたらすことができるのです。

つまり、DEI&Bに「ビロンギング」を含めることは、個人が職場で真に評価され、やりがいを感じるために重要な役割を果たすことを認識し、最終的に社員と組織の双方に利益をもたらすということです。

 
 

『ビロンギング』と『愛社精神』との違い

ではDEI&Bの中であったビロンギング(帰属意識)は日本でよく重要視されている「愛社精神」とはどう違うのでしょうか?

愛社精神は組織が個人の上にあり、辞められないのに対して、ビロンギングは組織と個人が対等で、辞めないという前向きな気持ちになるのです。

また、愛社精神では仕事の意味をアメとムチでの報酬がモチベーションですが、ビロンギングはやりがいがモチベーションとなるのです。そして、ビロンギングは自分自身のパーパスと組織のパーパスが一致している状態だと言えます。

しかし、このパーパスはただ業務命令を出すだけではできないでしょう。ではこのパーパスを一致させ、「ビロンギング」を生み出し、個人と組織の意識を一致させるにはどうすれば良いのでしょうか?

内発的動機の可視化でビロンギングを作り出す

個人と組織の意識を一致させる第一歩は一人ひとりがどのような瞬間に仕事へのやりがいを感じ、社員が活躍できるような環境を整えることです。仕事へのやりがいを生み出していくためには内発的動機を可視化することでそこからビロンギングを作り出すことができるのです。

Attunedでは、心理学者とデータサイエンティストのチームが、仕事に関係する内発的動機づけを洗い出し、クラスター化と検証を経て 11 個に絞り込み、それらの11の内発的動機のことを、動機づけるモノ・コトという意味で「モチベーター」と呼んでいます。

 
 

さらに、55の質問からなるモチベーションアセスメントを受けていただくことで、個人にとってどのモチベーターが最も重要なのか、どのような仕事で最高のパフォスを発揮するのか、どのような環境で最も活躍する可能性が高いのかを示すモチベーター レポートを提供し、ビロンギングを作り出し、DEI&Bを実践する職場作りの手助けとなります。

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